解雇について
相談内容

当社は、昨今の不況により、元請企業からの発注が1年前の3分の1となり、多額の営業赤字を計上しています。労働基準法では1か月分の解雇予告手当の支払義務が規定されていると聞いていますが、1か月分の解雇予告手当を支払えば解雇はできるのでしょうか。

弁護士の回答

解雇とは、使用者による労働契約の解約であり、使用者の一方的意思表示によりなし得るものですが、解雇についての法律上の定めを遵守するともに、不況を理由とする整理解雇については、判例上の4要件を遵守することが必要です。
1 解雇についての法律上の定め
 (1) 解雇予告・予告手当(労働基準法第20条1項)
    労働基準法は、使用者による解雇について、労働者に再就職等の準備に時間的余裕を与えるため、少なくとも30日前の解雇予告又は30日分以上の予告手当を必要としています。
 (2) 産休産後・業務災害の場合の解雇制限(労働基準法第19条1項)
    労働基準法は、労働者が業務上の負傷や疾病による療養のために休業する期間や産休産後の女性労働者が労働基準法第65条に基づいて休業する期間及びその後30日間について、解雇を禁止しています。
 (3) 妊娠・出産及び介護における解雇制限(雇用機会均等法第9条4項、育児・介護休業法第10条、16条)
使用者は、女性労働者が妊娠中及び出産後1年を経過しない間は、妊娠、出産、産前産後休業や育児時間の申出・取得、妊娠・出産に起因する労働能率低下、その他妊娠又は出産に関連する理由で当該労働者を解雇することはできません。また、使用者は、労働者が育児・介護休業の申出又は取得したことを理由として解雇することはできません。
2 整理解雇の4要件
経営不振を理由として解雇である整理解雇については、裁判所における判例を通じて、次の4要件を充たすことが必要とされています。
(1)整理解雇の必要性
(2)整理解雇の回避努力義務
(3)整理解雇の基準及び選定の合理性
(4)労使交渉等の手続の合理性

[本件の場合]
整理解雇については、企業の業績悪化が認められる場合であっても、整理解雇の回避努力義務、整理解雇の基準及び選定の合理性、労使交渉等の手続の合理性が往々にして軽視され、後日、労使紛争の原因となります。整理解雇にあたっては、4要件について慎重に吟味のうえ、十分な準備を整え実施されることをお勧めします。